FXStabilizer EA徹底レビュー|グリッド&マーチンゲール戦略の本当のリスクとは?

EAの概要

ロジック概要 逆張り
マーチンゲール あり
グリッド あり
スキャルピング なし
開発者 FOREX STORE

各項目の評価とコメント

リスク構造・破綻耐性 スコア 1 / 35

逆張りでグリッドを組み、2回目以降の追加ポジションを倍ロットにする典型的なマーチンゲールEAです。普段は小さな利益を積み上げますが、一方向のトレンドに捕まると一撃で口座資金の大部分を失うリスクがあります。安定運用向きではなく、「最悪ゼロになってもいい遊び資金」でのみ検討すべき高リスクEAです。

フォワード信頼性 スコア 11 / 25

公開フォワードは2016年からの長期間で右肩上がり、見た目の成績は非常に良好です。ただしCent口座+グリッドマーチン+手動と思われるロット調整が混ざっており、同じ曲線を一般ユーザーが再現できるとは考えにくいです。「きれいな成績だが、生存者バイアスと運の影響を強く疑うべきフォワード」と評価します。

収益性・期待値 スコア 5 / 20

フォワード・バックテストともに利益額やPFだけ見れば魅力的で、高い収益ポテンシャルがあるように見えます。しかし利益は「グリッドでコツコツ+マーチンで一気に取り返す」仕組みによるもので、1回のロスカットで長期間の利益をまとめて失う設計です。ハイリターンの裏側に、口座吹き飛びリスクが常に張り付いている点を忘れてはいけません。

再現性 スコア 2 / 10

ベンダーのバックテストはAutoRisk=trueの変動ロット、フォワードは特定ブローカーのCent口座という条件に強く依存しています。残高やスプレッド、約定品質が違えばロット増加のペースもロスカットのタイミングも変わり、同じ結果はまず出ません。提示成績をそのまま他社口座や小資金で再現できると期待しないほうが安全です。

検証プロセス スコア 2 / 10

実際のフォワード履歴とチャート上のプロットを検証すると、開発者が強調する「安定性」よりも、単純な逆張りグリッド+マーチンという高リスク構造がはっきり見えます。ベンダー公開バックテストも7年程度と短く、変動ロットで良さそうな期間だけを切り取った印象です。公開情報だけを鵜呑みにせず、自分の環境で長期バックテストとデモ検証を行うことが前提となるEAです。

この記事を書いた人

Tetsushi O-nishi

FX市場のシステムトレーダー/MQL5プログラマー/EA(自動売買システム)開発者
2021年からEAの開発を開始。数々の戦略を構築→バックテスト検証し、堅守性(ロバストネス)を重視した開発を行う。
自作EAを10個以上リアルアカウントで運用中。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や助言を目的としたものではありません。FX取引にはリスクが伴います。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で慎重に行ってください。

フォワードテストの分析(FXStabilizer_EUR – Turbo)

FXStabilizer_EUR - Turbo フォワードテスト損益グラフ・収益率・ドローダウンのウィジェット(Myfxbook)
FXStabilizer EUR Turboのフォワード成績(Gain・月次・DDと成長曲線)
FXStabilizer_EUR – Turbo:公開フォワードの全体成績(2025年12月時点の表示)

フォワード口座の前提(現時点の観測条件)

本セクションは2025年12月22日現在の公開フォワード情報(画面キャプチャ)をもとに整理しています。
口座は「Real(USD Cent)」表記で、ブローカーはMarkets4you、レバレッジは1:500、プラットフォームはMT4となっています。
Cent口座は表示上の金額・損益の見え方が通常口座と異なるため、数値の印象だけでリスクを過小評価しないよう注意が必要です。

期間・収益曲線の見た目

フォワードは2016年4月頃から2025年末までと読み取れ、運用期間が長い点は材料になります。
収益曲線(Growth)は右肩上がりで、見た目としては非常に魅力的に映ります。一方で、途中にいくつか「段差」や「落ち込み(残高が減る局面)」が確認でき、完全な一直線ではありません。

主要指標(本日時点の表示値)

画面上では Gainが約+3,715% と非常に大きく、月次は約3.13%、ドローダウンは約13.26%と比較的低く抑えられているように見えます。
この組み合わせは一見優秀ですが、後述するように取引履歴からは典型的なグリッド/マーチンゲール系の挙動が見えるため、「平常時は安定、ストレス局面で急変しやすい」タイプの可能性を前提に評価するのが安全です。

ロットが倍増し同時刻に一括決済している取引履歴(グリッド・マーチンの典型)
取引履歴から確認できるロット倍増と一括クローズの挙動

取引履歴から読み取れる売買パターン(グリッド/マーチンの典型)

履歴ではロットが 0.01 → 0.02 → 0.04 → 0.08 → 0.16 と倍々で増えていく局面が見られます。
これは一般的に、含み損が進んだ際にポジションを積み増しして平均建値を近づけ、反発でまとめて利益確定を狙うグリッド+マーチンゲールの典型的な挙動です。

また、複数ポジションが同一時刻(あるいは近い時刻)で一括クローズされている様子も確認でき、個別の損切り/利確というより「全体をまとめて手仕舞い」する設計であることが示唆されます。
このタイプは普段はコツコツ増えやすい一方、トレンドが長く続くとロットが膨らみ、損失が加速度的に増えやすい点が弱点です。

大きなドローダウン局面のロット増加と損失の拡大、その後の回復が分かる履歴
ドローダウン局面と回復局面:リスク上昇(ベースロット変更の可能性)に注意

ドローダウン局面:ロスカット(強制決済)と「回復の速さ」の裏側

残高が大きく沈む箇所が複数あり、履歴上は大きなマイナスpips・大きな損失額が連続する局面が見られます。
この手のグリッド/マーチン戦略では、一定のトレンド継続で耐えきれず、最終的にロスカット(強制決済)に到達することがあります。

一方で、その後の残高回復が早く見える点も特徴です。ただし履歴を見ると、ドローダウン後に「初期ロット(ベースロット)」が以前より大きい水準で始まっているように見える局面があります。
もしロスカット後にベースロットを引き上げて回復速度を上げているのだとすると、これはリスクを上げて取り返しに行く操作であり、破綻確率をさらに引き上げる非常に危険な運用になります。

このような「ベースロットの引き上げ」は、EA自動運用だけで一貫して起きる場合もあれば、ベンダー側が裁量で調整している(手動介入している)可能性もあります。
少なくとも、購入者が同じ設定で放置運用しても、ベンダーのように“綺麗な曲線”を再現できるとは限りません。

資金量と破綻確率:小資金ほど不利

グリッド/マーチン戦略が「いつ破綻するか」は、相場環境だけでなく残高(耐久力)とロットサイズの組み合わせに強く依存します。
ベンダーの口座はすでに残高が増えているため、同じロット設計でも相対的に余裕が生まれ、結果として破綻確率が下がりやすい構造です。
逆に、小さな残高で同等のリスク設定を行うと、口座残高がゼロ近くまで追い込まれる確率は高くなります。

提示フォワードは「生存者バイアス」の可能性もある

グリッド/マーチン系は多数の試行(多数口座・多数設定)を行えば、たまたま大崩れせず生き残る個体が出ます。
そのため、提示されているフォワードが「多数テストの中で生き残った口座だけ」である可能性は常に考慮すべきです。
フォワード期間が長い点は評価材料になり得ますが、同時に「見えていない失敗口座がどれだけあるか」は外部からは分かりません。

現時点(本日)の結論:魅力はあるが、再現性と最悪時リスクを最優先で見るべき

本日時点の見た目では、長期フォワード・右肩上がり・比較的低いDDが揃っており、成績は魅力的に見えます。
ただし履歴からは、ロット倍増・まとめて決済といった典型的なグリッド/マーチン挙動が確認でき、ストレス局面での損失拡大リスクは高いと考えるのが妥当です。
導入を検討する場合は、(1)小資金での過信を避ける、(2)ベースロット固定で無理に回復を狙わない、(3)最悪ケース(連続トレンド)で耐えられる設計かを先に検証する――この3点が最低条件になります。

フォワードテストの分析(FXStabilizer_EUR – Turbo)

フォワード口座の前提(現時点の観測条件)

本セクションは2025年12月22日現在の公開フォワード情報(画面キャプチャ)をもとに整理しています。
口座は「Real(USD Cent)」表記で、ブローカーはMarkets4you、レバレッジは1:500、プラットフォームはMT4となっています。
Cent口座は表示上の金額・損益の見え方が通常口座と異なるため、数値の印象だけでリスクを過小評価しないよう注意が必要です。

期間・収益曲線の見た目

フォワードは2016年4月頃から2025年末までと読み取れ、運用期間が長い点は材料になります。
収益曲線(Growth)は右肩上がりで、見た目としては非常に魅力的に映ります。一方で、途中にいくつか「段差」や「落ち込み(残高が減る局面)」が確認でき、完全な一直線ではありません。

主要指標(本日時点の表示値)

画面上では Gainが約+3,715% と非常に大きく、月次は約3.13%、ドローダウンは約13.26%と比較的低く抑えられているように見えます。
この組み合わせは一見優秀ですが、後述するように取引履歴からは典型的なグリッド/マーチンゲール系の挙動が見えるため、「平常時は安定、ストレス局面で急変しやすい」タイプの可能性を前提に評価するのが安全です。

取引履歴から読み取れる売買パターン(グリッド/マーチンの典型)

履歴ではロットが 0.01 → 0.02 → 0.04 → 0.08 → 0.16 と倍々で増えていく局面が見られます。
これは一般的に、含み損が進んだ際にポジションを積み増しして平均建値を近づけ、反発でまとめて利益確定を狙うグリッド+マーチンゲールの典型的な挙動です。

また、複数ポジションが同一時刻(あるいは近い時刻)で一括クローズされている様子も確認でき、個別の損切り/利確というより「全体をまとめて手仕舞い」する設計であることが示唆されます。
このタイプは普段はコツコツ増えやすい一方、トレンドが長く続くとロットが膨らみ、損失が加速度的に増えやすい点が弱点です。

ドローダウン局面:ロスカット(強制決済)と「回復の速さ」の裏側

残高が大きく沈む箇所が複数あり、履歴上は大きなマイナスpips・大きな損失額が連続する局面が見られます。
この手のグリッド/マーチン戦略では、一定のトレンド継続で耐えきれず、最終的にロスカット(強制決済)に到達することがあります。

一方で、その後の残高回復が早く見える点も特徴です。ただし履歴を見ると、ドローダウン後に「初期ロット(ベースロット)」が以前より大きい水準で始まっているように見える局面があります。
もしロスカット後にベースロットを引き上げて回復速度を上げているのだとすると、これはリスクを上げて取り返しに行く操作であり、破綻確率をさらに引き上げる非常に危険な運用になります。

このような「ベースロットの引き上げ」は、EA自動運用だけで一貫して起きる場合もあれば、ベンダー側が裁量で調整している(手動介入している)可能性もあります。
少なくとも、購入者が同じ設定で放置運用しても、ベンダーのように“綺麗な曲線”を再現できるとは限りません。

資金量と破綻確率:小資金ほど不利

グリッド/マーチン戦略が「いつ破綻するか」は、相場環境だけでなく残高(耐久力)とロットサイズの組み合わせに強く依存します。
ベンダーの口座はすでに残高が増えているため、同じロット設計でも相対的に余裕が生まれ、結果として破綻確率が下がりやすい構造です。
逆に、小さな残高で同等のリスク設定を行うと、口座残高がゼロ近くまで追い込まれる確率は高くなります。

提示フォワードは「生存者バイアス」の可能性もある

グリッド/マーチン系は多数の試行(多数口座・多数設定)を行えば、たまたま大崩れせず生き残る個体が出ます。
そのため、提示されているフォワードが「多数テストの中で生き残った口座だけ」である可能性は常に考慮すべきです。
フォワード期間が長い点は評価材料になり得ますが、同時に「見えていない失敗口座がどれだけあるか」は外部からは分かりません。

現時点(本日)の結論:魅力はあるが、再現性と最悪時リスクを最優先で見るべき

本日時点の見た目では、長期フォワード・右肩上がり・比較的低いDDが揃っており、成績は魅力的に見えます。
ただし履歴からは、ロット倍増・まとめて決済といった典型的なグリッド/マーチン挙動が確認でき、ストレス局面での損失拡大リスクは高いと考えるのが妥当です。
導入を検討する場合は、(1)小資金での過信を避ける、(2)ベースロット固定で無理に回復を狙わない、(3)最悪ケース(連続トレンド)で耐えられる設計かを先に検証する――この3点が最低条件になります。

バックテスト結果の分析(ベンダー公開レポート)

FXStabilizerのベンダー公開バックテスト結果(EURUSD H1、変動ロットでPF2.10・最大DD33%)
ベンダー公開のバックテストレポート。PF2.10・最大ドローダウン33%と数字は良く見えるが、変動ロットとテスト期間の短さを考えると過信は禁物

前提:ベンダーが用意した“見せるため”のバックテスト

本セクションは2025年12月22日現在に確認できる、ベンダーが公開しているバックテスト結果(添付スクリーンショット)をもとに整理します。
レポート上ではパラメータに AutoRisk=true とあり、ロットサイズが口座状況に応じて自動調整される変動ロットテストです。
ユーザーが同じブローカー・同じヒストリ・同じスプレッドで運用できるわけではないため、この結果はあくまで「ベンダーの環境で、ベンダーが選んだ条件で作られた成績」に過ぎません。

テスト条件と期間:7年弱は“長期”とは言い難い

対象はEURUSD、時間足はH1、モデリングはEvery tick表記、品質は90%です。
一見すると真面目にテストしているように見えますが、2009年〜2016年末までの約7年弱という期間は、グリッド/マーチンEAを評価するには決して十分とは言えません。
この種のEAは「大きなトレンドが1回来るだけで口座が飛ぶ」構造を持つため、7年生き延びたとしても「たまたま破綻局面に当たらなかっただけ」の可能性が常に残ります。

損益・PF・ドローダウンの読み方

初期証拠金10,000に対して、Total net profitは大きく、プロフィットファクター(PF)も2.10と数字だけ見れば悪くありません。
最大ドローダウンも約33%で、単体の数値としては致命的なレベルではないと言えます。
しかし、これらはすべて「変動ロット(AutoRisk=true)」を前提とした結果です。
ロットを増減させれば、同じロジックでもPFやDDは大きく変わります。
リスクをどれだけ盛った状態でこのPFとDDを得ているかが分からない以上、数値だけを見て“優秀”と評価するのは危険です。

グリッド/マーチンEAゆえに、トレード単体の勝率や平均値は意味が薄い

レポート上では総トレード数1,800超、勝率は約6割前後と記載されていますが、グリッド/マーチンEAでは個々のトレード統計からロジックを評価すること自体があまり意味を持ちません
このタイプは、段階的にポジションを積み増しして「ポジション群(バスケット)全体がプラスになるまで耐える」設計のため、1ポジション単位の平均損益や連勝・連敗回数は実態を反映しにくいからです。
重要なのは、どの程度まで含み損を許容し、どこでロスカットされる設計なのかですが、公開バックテストからはその危険ラインが明確に示されていません。

変動ロットの問題点:ユーザー環境では再現性が低い

AutoRiskでロットを自動調整している以上、ベンダーのテストとユーザーの実運用では、同じ設定でも実質的なリスク水準がズレます
ブローカーや口座タイプ、証拠金、スプレッド、スワップ、約定品質などが少し違うだけで、ロット増加のタイミングやロスカットの位置が変わり、結果としてDDや最終利益も大きく変動します。
さらに言えば、ベンダーが「崩れたバックテスト」を公開せず、結果の良かったパターンだけを選んで掲載している可能性も否定できません。

批判的なまとめ:バックテストは“グリッド・マーチンのポテンシャルを演出した資料”

公開バックテストは、右肩上がりの曲線と高いPF、許容範囲に見えるDD33%によって、非常に魅力的に見えるよう設計されています。
しかし実態は、変動ロットを前提としたグリッド/マーチンEAの一例に過ぎず、リスクの全貌や破綻確率はほとんど開示されていません
テスト期間も7年弱と決して長くはなく、「この期間はたまたま大崩れしなかった」可能性を排除できません。

したがって、このバックテストを「長期にわたり安定して勝てる証拠」と受け取るのは危険です。
むしろ、大きなトレンドがもう一度来たとき、本当に口座が耐えられるのかを、ユーザー自身の資金量・許容リスク・固定ロット設定などで再検証する必要がある、という批判的なスタンスで解釈すべき結果だと言えるでしょう。

トレーディングロジックとリスク特性

FXStabilizerのEURUSD M15チャートで確認できるグリッドとマーチンゲールの売買履歴
EURUSD M15:逆張りでエントリーし、約30pips間隔でロットを増やしながら追加している様子が分かる

基本構造:ごく単純なグリッド+マーチンゲールEA

FXStabilizerの実際の売買履歴(フォワード結果をチャート上にプロットしたもの)を見ると、ロジックは非常に単純な
グリッド+マーチンゲール戦略であることがはっきり分かります。
チャート上では、白い矢印が買いポジション、赤い矢印が売りポジションで、同じ方向に段階的にポジションを積み増している様子が確認できます。

エントリーは基本的に逆張りで行われます。
トレンド方向に大きく動いた後、相場が「そろそろ反転しそうだ」とEAが判断したタイミングで最初のポジションを立て、そこから約30pips前後の間隔で追加ポジションを並べていきます。
グリッド幅(ポジション間の距離)がほぼ一定であることから、裁量的な判断ではなく、あらかじめ決められた距離で機械的に追加していることが分かります。

ロットの増やし方:1回目は同一ロット、2回目以降は倍々ゲーム

ロットサイズの推移を見ると、最初のエントリーと1回目の追加エントリーまでは同一ロット(例:0.01 → 0.01)ですが、
2回目以降の追加からは前回ロットの2倍に増やしていることが確認できます(0.01 → 0.02 → 0.04 → 0.08 → 0.16 …)。
これは典型的なマーチンゲール手法であり、含み損が増えるほどロットを増やして平均建値を近づける仕組みです。

この結果、価格が少しでも反転してくれれば、ポジション群(バスケット)全体では比較的早くプラスに転じます。
FXStabilizerはこの「反転待ち」を前提に設計されており、相場が想定通りに戻ってくる限りは、バスケットをまとめてクローズしてコツコツ利益を積み上げる挙動を繰り返します。

FXStabilizerのEURUSD H1チャートにプロットした長期間のグリッド・マーチン売買履歴
EURUSD H1:買いと売りのポジション群がバスケット単位で積み上がり、トータルで利益が出たタイミングで一括決済されている

決済ロジック:トータルがプラスになるまでひたすら耐える

決済タイミングをチャート上で追うと、個別のポジションごとに細かく利確・損切りしているのではなく、
複数ポジションを一括でクローズしている場面が多く見られます。
これは、各ポジション単体ではマイナスでも、合計損益が一定のプラスに到達した瞬間に全て手仕舞いするというグリッド/マーチンEA特有の考え方です。

この方式は、レンジ相場や反転の多い相場では「ほぼ毎回トータル勝ちになる」一方で、勝ち方と負け方のバランスが極端です。
勝ちトレードは小さな利益を積み上げますが、負ける時はバスケット全体をロスカットせざるを得ず、
一度の失敗でそれまでの利益を一気に吐き出す構造を持っています。

開発者がうたう特徴とのギャップ

開発者は公式サイトで、「長期にわたる安定運用」「ドローダウン制御」「耐久性(Durable)と成長性(Turbo)のモード切替」などをアピールしています。
また、一時的にリスクを上げるBoostモードや、一定のリスク制限を設けていると説明しています。

しかし、実際の取引パターンは前述の通り、逆張りグリッド+マーチンゲールの非常にシンプルな仕組みです。
リスク制御と言っても、「どこまでポジションを積み増すのか」「どのレベルでロスカットするのか」といった肝心な部分はユーザーから見えません。
見かけ上のドローダウンが小さく見えていても、それは「まだロスカットが発生していない期間だけが切り取られている」可能性を常に含んでいます。

リスク特性:大きなトレンド相場で“一撃退場”の危険

このEAの最大のリスクは、明確なトレンドが長く続いたときに一撃で大きな損失が出ることです。
逆張りでエントリーし、30pipsごとに追加・2倍ロットで積み増す構造上、相場が反転せずに一方向へ伸び続けると、
含み損はロットの増加とともに加速度的に膨らみます。

口座残高に十分な余裕がない場合、証拠金維持率が急激に悪化し、強制ロスカット(マージンコール)でバスケット全体を失う可能性があります。
この時に発生する損失は、通常の「1回の負けトレード」のイメージを大きく超える金額になり得ます。

まとめると、FXStabilizerのトレーディングロジックは、
「普段はコツコツ勝つが、相場が逆に振れたときに大きく飛ぶ典型的なグリッド&マーチンEA」
であり、ロジック自体はシンプルで分かりやすい一方、資金管理と最悪ケースの想定を誤ると口座が一撃で吹き飛ぶ高リスク戦略だと理解しておく必要があります。

総合評価・まとめ

FXStabilizerの「表」と「裏」

  • 公開フォワードを見ると、数年にわたって右肩上がり・ドローダウンも比較的小さめで、一見すると非常に魅力的なEAに見える。
  • しかし実際の売買パターンは、逆張り+グリッド+マーチンゲールという、ごく単純かつ典型的な高リスク戦略である。
  • フォワード口座では、ロスカット後に初期ロットを引き上げて回復を早めていると疑われる箇所もあり、
    ベンダーによる手動介入なしに同じ曲線を再現できるとは考えにくい。

バックテスト・フォワードの信用度

  • ベンダーが公開しているバックテストは、変動ロット(AutoRisk)を使った約7年分の結果に過ぎず、
    「長期にわたり安定している証拠」と言えるほどの期間でもない。
  • PF2.10・最大DD33%という数字自体は悪くないが、ロット調整を前提とした結果であり、
    ユーザーの環境で同じリスク・同じ成績を再現できる保証はない。
  • フォワード口座も、無数にテストされた中で「たまたま生き残った口座」だけが提示されている可能性を常に考慮すべきである。

リスク特性と適合するユーザー像

  • このEAは、レンジ相場や反転の多い局面ではコツコツ利益を積み上げる一方、
    強いトレンドが一度来るだけで口座を吹き飛ばす可能性がある構造を持つ。
  • 破綻するかどうかは「残高とロットサイズ」に強く依存するため、
    ベンダーのように既に残高が膨らんだ口座と、ユーザーの小口座では破綻確率がまったく違う。
  • 「最悪の場合、口座残高がゼロになっても構わない遊び資金」で試すのであれば選択肢になり得るが、
    生活資金・大事な資産を預けるEAとしては明らかに不向きである。

本日時点での結論(2025年12月22日)

  • FXStabilizerは、見かけ上の成績は派手だが、ロジックは単純なグリッド&マーチンであり、
    長期的な安全性は期待すべきではないEAと評価せざるを得ない。
  • 購入を検討するなら、「いつか大きなトレンドが来たときに口座が飛ぶ可能性」を前提にし、
    小資金・低ロット・早めの出金など、自衛のリスク管理を徹底することが最低条件になる。
  • 安定資産運用を求めるトレーダーよりも、「ハイリスク承知でグリッド・マーチン系を試したい人向け」のEAとして位置付けるのが妥当。

Author of this article

Tetsushi O-nishi

FX市場のシステムトレーダー/MQL5プログラマー/EA(自動売買システム)開発者
2021年からEAの開発を開始。数々の戦略を構築→バックテスト検証し、堅守性(ロバストネス)を重視した開発を行う。自作EAを10個以上リアルアカウントで運用中。

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