Weltrix EA MT5を検証レビュー|バックテスト100回制限の疑いとリスク特性を解説

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EAの概要

ロジック概要 トレンドフォロー
マーチンゲール なし
グリッド なし
スキャルピング あり
通貨ペア XAUUSD
タイムフレーム 1H
開発者 Guilherme Jose Mattes

各項目の評価とコメント

リスク構造・破綻耐性 スコア 8 / 35

開発者はグリッド/マーチンなしを掲げていますが、実態は利小損大(コツコツドカン)になりやすく、損切りが遅れて長時間ホールドする局面が出ます。最大の弱点は「一度の大きな損失が利益を相殺しやすい」点です。

フォワード信頼性 スコア 5 / 25

フォワード(MQL5シグナル)は成長率が高く見える一方、月次がマイナスの場面もあり、期間もまだ短めです。勝率依存の成績に見えるため、長期の安定性は現時点では判断しにくいです。

収益性・期待値 スコア 5 / 20

筆者バックテスト(XAUUSD、固定0.01、スプレッド20)では総損益がマイナスで、PFも1未満でした。フォワードで利益が出ていても、利小損大構造のため「増える時は増えるが、崩れる時は早い」点に注意が必要です。

再現性 スコア 2 / 10

スキャルピング寄りのため、スプレッド・約定・スリッページの影響が大きく、他社口座での再現性は低いです。さらにバックテストで十分な取引サンプルを確保しづらく、事前検証もしにくいのが欠点です。

検証プロセス スコア 1 / 10

筆者検証では、期間を変えても取引回数が100回で頭打ちになる挙動が確認でき、ユーザーバックテストを制限している可能性が高いと判断しました。検証しづらい設計は信頼性を損ねるため、公開情報だけでの導入判断は推奨しません。

この記事を書いた人

Tetsushi O-nishi

FX市場のシステムトレーダー/MQL5プログラマー/EA(自動売買システム)開発者
2021年からEAの開発を開始。数々の戦略を構築→バックテスト検証し、堅守性(ロバストネス)を重視した開発を行う。
自作EAを10個以上リアルアカウントで運用中。

免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、投資勧誘や助言を目的としたものではありません。FX取引にはリスクが伴います。投資に関する最終決定は、ご自身の判断で慎重に行ってください。

フォワードテスト(MQL5シグナル)の現状分析

Weltrixのフォワードテスト統計(MQL5シグナル:15週間、成長率67%、最大DD約8.6%)
Weltrixのフォワードテスト(本日2025年12月15日時点)。勝率は高い一方、平均損失が平均利益を上回りリスクリワードは悪い。

本セクションは、添付のMQL5シグナル統計画面にもとづく本日(2025年12月15日)時点のフォワード状況の整理です。
フォワードは途中で数値が変動するため、ここでの評価は「現時点スナップショット」である点を前提に読み進めてください。

運用環境と稼働期間(フォワードの前提)

  • 稼働期間:15 weeks
  • ブローカー表示:CapitalPointTrading-MT5-4、レバレッジ 1:500
  • 自動売買率(Algo trading):97%

運用期間はまだ15週間と短めです。相場環境が変わった際の耐性(急変動・連続トレンド・ボラ急拡大など)は、今後の推移も合わせて確認が必要です。

収益推移:成長率は高いが、月次がマイナスの日もある

  • Growth since 2025:67%
  • Profit:269.95 USD
  • Equity:753.19 USD
  • Monthly growth:-4.04%

累積の成長率はプラスですが、月次がマイナス(-4.04%)の表示もあり、直近は調整局面の可能性があります。
短期の良い区間だけで判断せず、「伸びた後にどの程度崩れるか」「回復にどれくらい時間がかかるか」を重視したいところです。

入出金の影響:実力評価のノイズになりやすい

  • Initial Deposit:150.00 USD
  • Deposits:333.50 USD
  • Withdrawals:0.26 USD

初期入金150 USDに対して、追加入金(Deposits)が333.50 USDと大きめです。
フォワードカーブの見栄えは「入金・追加入金」で印象が変わることがあるため、記事では損益(Profit)と最大ドローダウン、リスクリワードを軸に評価するのが安全です。

トレード頻度と保有時間:中頻度・短時間保有

  • 総トレード数:231
  • 取引回数の目安:6 trades/week
  • 平均保有時間:1 hour
  • 売買比率:Long 151(65.37%) / Short 80(34.63%)

週6回程度の取引で、平均保有は1時間と短めです。
極端な超高頻度ではありませんが、短期決済ゆえにスプレッド・約定品質(滑り)の影響は無視できません。

リスク指標:最大DDは中程度、ただし単発の大きな損失が目立つ

  • Relative drawdown:By Balance 8.56%(70.32 USD) / By Equity 8.08%(66.40 USD)
  • Maximum drawdown(レーダー表示):8.6%
  • Max deposit load:13.9%(統計表示 13.94%)
  • Recovery Factor:3.84

最大DDは約8〜9%で、フォワードとしては“荒すぎる”水準ではありません。
一方で、最悪トレードが-70.32 USDと大きく、これが最大DD(70.32 USD)と一致していることから、単発の大きな負けが成績を強く左右するタイプに見えます。

結論:このフォワードは「勝率依存」で、リスクリワードは悪い

  • 勝率:Profit Trades 83.54%
  • Profit Factor:2.09
  • Expected Payoff:1.17 USD
  • 平均利益:2.68 USD
  • 平均損失:-6.53 USD
  • 最悪トレード:-70.32 USD(Best trade:35.65 USD)

数値からは、平均損失(-6.53)が平均利益(2.68)を大きく上回っており、リスクリワードは悪いと判断できます。
この構造は「高い勝率で小さく積み上げ、負けるときに大きく削る」形になりやすく、一度の大きな損失が多くの勝ちを相殺する点が最大の注意点です。

勝率83%台とPF2.09は一見良好ですが、リスクリワードが悪い場合は相場急変や不利な連続局面で一気に成績が崩れることがあります。
このEAを評価するうえでは、今後のフォワードで「大負けがどれくらいの頻度で出るか」「その後に回復できるか」を継続監視する必要があります。

現時点の所感(次に確認したいポイント)

  • 運用期間がまだ短い(15週間)ため、相場環境が変わった局面の耐性は未確定
  • 追加入金が大きく、曲線の印象が変わり得るため、損益・DD・平均損失を重視
  • リスクリワードが悪い構造のため、導入するならロット控えめ&DD許容の明確化が必須

バックテスト結果の分析(筆者検証)

本セクションは、検証のため私自身が実施したバックテスト(本日:2025年12月15日時点)をもとに、Weltrixのパフォーマンスと信頼性を整理したものです。

バックテスト条件(今回の検証設定)

  • 期間:2025年1月1日〜2025年12月15日
  • 通貨ペア:XAUUSD
  • 初期残高:10,000 USD
  • ロットサイズ:固定 0.01 ロット
  • その他設定:デフォルトのまま
  • スプレッド:20ポイント
Weltrixのバックテスト損益グラフ(Balance/Equity):全体的に右肩下がりで推移
Weltrixのバックテスト損益曲線。下落基調が続き、途中の急落後に伸びが止まる形が確認できる。
Weltrixのバックテスト統計:総損益-14.75USD、取引回数100回、PF0.66、最大エクイティDD22.59USD
筆者バックテストの統計(2025/01/01〜2025/12/15)。成績はマイナスで、取引回数が100回で頭打ちになる挙動が見られた。

総合結果:収益性は低く、成績は明確に悪い

今回のバックテストでは、損益曲線が全体として右肩下がりで推移しており、途中で大きめの下振れを挟んだ後に伸びが止まる形になっています。
数値面でもプラス成長を示す材料が乏しく、どの期間で回しても成績が良くならない傾向が見られます。

損益の中身:利益より損失が上回り、期待値がマイナス

  • Total Net Profit:-14.75 USD
  • Gross Profit:28.27 USD
  • Gross Loss:-43.02 USD
  • Profit Factor:0.66
  • Expected Payoff:-0.15

Gross ProfitよりもGross Lossが大きく、合計損益(Total Net Profit)はマイナスです。
さらにProfit Factorが1.0を下回り、Expected Payoffもマイナスであることから、統計的に見ても「勝って増える戦略」というより負けやすい戦略と判断せざるを得ません。

リスク評価:%ではなく、ロットとエクイティDDの“絶対値”で見る

残高対比のドローダウン(%)は、初期残高やロットサイズの取り方に強く依存し、評価がぶれやすいため本記事では重視しません。
今回は固定0.01ロットでの検証なので、エクイティドローダウンの絶対値(USD)でリスクを確認します。

  • Equity Drawdown Absolute:21.54 USD
  • Equity Drawdown Maximal:22.59 USD
  • (参考)Balance Drawdown Absolute:19.75 USD
  • (参考)Balance Drawdown Maximal:20.70 USD

エクイティDDの最大値は約22.59 USDで、0.01ロット運用としては「一撃で破壊的」という水準ではありません。
ただし、そもそも収益がマイナスである以上、DDが小さく見えても「低リスクで増える」ではなく低効率で削れる方向のリスクと捉える必要があります。

重大な懸念:期間を変えても“取引回数が100回で頭打ち”になる

  • Total Trades:100

今回の検証で最も重要な注意点が、どの期間でバックテストしても取引回数が100回しか発生しないという挙動です。
通常、検証期間を延ばせばトレード数は増えていくのが自然ですが、それが起きない場合は、EA側に意図的なバックテスト制限(トレード回数の上限)が設けられている可能性が高いです。

このような制限があると、ユーザーが十分な統計サンプル(取引数)を確保できず、再現性の判断が困難になります。
結果として、EAの透明性・信頼性を損ねる要因になり得るため、本EAを評価するうえで強いマイナスポイントです。

結論:現時点のバックテストでは「悪い」+「検証制限の疑い」で要注意

本日の検証条件(XAUUSD、固定0.01ロット、デフォルト設定、スプレッド20)では、成績は総合的に非常に悪く、期待値もマイナスでした。
加えて、取引回数が100回で固定される挙動が見られ、ユーザーバックテストを制限している可能性が高い点は看過できません。

したがって、少なくとも「バックテストで納得してから導入する」タイプのEAとしては不向きであり、導入判断をするなら、まず制限の有無(設定・認証・日付条件・口座種別で変化するか)を徹底的に確認することを推奨します。

トレーディングロジックとリスク特性

ここでは、開発者の説明(=あくまで開発者が主張している内容)を整理しつつ、添付のフォワード取引履歴チャート(白=Buy、赤=Sell)から読み取れるリスク特性をまとめます。

Weltrixのフォワード取引履歴(XAUUSD M5):白が買い、赤が売り。値動きが加速した局面でエントリーが見られる
フォワード取引履歴のプロット例(白=Buy、赤=Sell)。大きく動いたタイミングで売買が発生しているように見える。日本語キャプション:フォワード取引履歴のプロット例(白=Buy、赤=Sell)。大きく動いたタイミングで売買が発生しているように見える。スキャルピング寄りのため、約定環境の差で再現性がブレやすい点に注意。
Alt:Weltrixのフォワード取引履歴(XAUUSD M5):白が買い。価格が逆行しても長くポジションをホールドしている。
フォワード取引履歴の別期間(白=Buy、赤=Sell)。価格が逆行しても長くポジションをホールドしている。勝率は高いが、1回の負けでコツコツ積み上げた利益を吹き飛ばすタイプのEAである。

開発者が掲げるロジック概要(主張の整理)

  • 対象はXAUUSDで、複数の戦略(複数ロジック)を内包しているという説明
  • グリッドやマーチンゲールは使用しない、という主張
  • リスク制御として、損失制限やドローダウン保護などの仕組みがある、という説明

ただし、これらは開発者の説明であり、ユーザー側での検証(特にバックテストでの再現)とセットで判断する必要があります。

エントリーの特徴:価格が大きく動いたタイミングで入る傾向

添付の取引履歴チャートを見ると、急な上昇・急な下落の局面でエントリーが入りやすい印象です。
特に、値動きが加速した後のタイミングで売買マーカーが出ている場面があり、「ボラティリティ(勢い)に反応する短期型」の可能性が高いです。

決済の特徴:利確は早いが、損切が遅く長時間ホールドしやすい

フォワード統計では平均保有時間が短めに出やすい一方、実運用では損切りが遅れてホールドが長期化する局面が発生し得ます。
このタイプは「普段は早利確でコツコツ積み上げるが、負けるときは粘って傷が大きくなる」形になりやすい点に注意が必要です。

リスクリワード:利小損大(コツコツドカン)になりやすい

このEAの最大の弱点は、構造的に利小損大(コツコツドカン)になりやすい点です。
小さな利益を取りに行く一方で、損失側は「遅い損切り」になりがちで、一度の大きな負けが複数回分の利益を相殺します。

再現性の問題:スキャルピングは環境差の影響が大きい

本EAはスキャルピング寄りの挙動が想定され、スプレッド・約定速度・スリッページの影響を強く受けます。
そのため、同じ設定でもブローカーや口座条件が違うと結果がズレやすく、再現性は低いと考えるのが現実的です。

検証面の問題:バックテストで十分に検証しづらい

ユーザー側のバックテストでは、取引回数が一定で頭打ちになるなど、検証そのものが成立しにくい挙動が確認されています。
この状態だと、統計的に十分なサンプルを確保できず、ロジックの優位性やリスクの出方を客観的に判断しにくくなります。
結果として、EAへの信頼性を下げる大きな要因になります。

まとめ:非グリッド/非マーチンでも「安心」にはならない

グリッドやマーチンが無いこと自体は評価材料になり得ます。
しかし実態としては、スキャルピング特有の環境依存と、利小損大になりやすい決済構造が重なり、安定運用というより“噛み合う環境でだけ伸びる可能性があるタイプ”です。
導入するなら「ロットを抑える」「大負けの許容幅を先に決める」「フォワードで損失局面の挙動を確認する」といった前提が必須です。

総合評価・まとめ

本記事は、本日(2025年12月15日)時点で確認できるフォワード情報と、筆者が実施したバックテスト結果をもとにWeltrixを評価したものです。相場環境や稼働条件で結果は変動するため、ここでの結論は「現時点の判断」としてご覧ください。

結論(先に要点)

  • 総合評価:おすすめしにくい
  • 理由は「利小損大(コツコツドカン)」の構造と、「検証のしにくさ(バックテスト制限の疑い)」が大きい
  • フォワードは一見数字が良く見えるが、リスクリワードが悪いため急変動で崩れやすい

プラス要素

  • 開発者の説明上はグリッド/マーチンなし(ただし主張であり、ユーザー側での継続確認は必要)
  • 最大DDは極端に大きい水準ではなく、運用が噛み合う局面では伸びる可能性はある

マイナス要素(重要)

  • 利小損大(コツコツドカン)になりやすい:利確は早いが、損切が遅く長時間ホールドしやすい
  • スキャルピング寄りで再現性が低い:スプレッド、約定、スリッページの影響を受けやすい
  • バックテストで十分に検証できない:取引回数が100回で頭打ちになる挙動があり、意図的に検証を制限している可能性が高い
  • 筆者バックテストでは成績が悪い(期待値がマイナス)

向いている人/向かない人

  • 向いていない:バックテストで納得してから導入したい人/安定運用を重視する人/コツコツドカンが苦手な人
  • それでも試すなら:ロットを小さく固定し、最大損失の許容ラインを先に決め、短期間での様子見から入れる人

最終コメント

Weltrixは「非グリッド/非マーチン」を掲げていますが、現時点のデータからはリスクリワードの悪さ検証の困難さが強く目立ちます。
したがって、総合的には慎重(できれば見送り)という判断になります。

Author of this article

Tetsushi O-nishi

FX市場のシステムトレーダー/MQL5プログラマー/EA(自動売買システム)開発者
2021年からEAの開発を開始。数々の戦略を構築→バックテスト検証し、堅守性(ロバストネス)を重視した開発を行う。自作EAを10個以上リアルアカウントで運用中。

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