
EAの概要
| ロジック概要 | 機械学習 |
|---|---|
| マーチンゲール | なし |
| グリッド | なし |
| スキャルピング | なし |
| 通貨ペア | XAUUSD |
| タイムフレーム | 15M |
フォワードテストの分析
フォワードテスト結果の概要(執筆時点:2025年11月21日)
本EAのフォワードテストは、2025年7月末からリアル口座(レバレッジ1:500)で継続されており、執筆時点では元本を上回るリターンを記録しています。増加率はおおよそ+100%を超える水準で、最大ドローダウンも10%未満に抑えられており、攻め寄りの設計でありながら、一撃で口座残高を飛ばすタイプではないことがうかがえます。
リスク・リワードと勝率の評価
リスク・リターンの質を見ると、プロフィットファクターは2前後、勝率も7割近い水準にあり、統計的には一定の優位性が確認できます。一方で、1トレードあたりの平均損失は平均利益とほぼ同程度で、リスクリワード比は1よりわずかに低い構造です。つまり「1回あたりの値幅で大きく稼ぐ」EAというよりは、同時に多くのポジョションを持ち、やや高めの勝率によって期待値を積み上げていくロジックだと考えられます。
トレード傾向と相場適性
フォワード期間は短いですが、トレード回数は累計で1,000回を大きく超えています。これは同時に多くのポジョションを持つからです。その内訳を見ると、ほとんどが買いトレードに偏っており、売りトレードはごく少数です。このことから、本EAは主に「上昇トレンド、あるいは買い優位の相場」で力を発揮する設計であり、ショート側のエッジは限定的である可能性があります。実運用では、相場環境が大きく下落トレンドに変化した場面での挙動に注意を払う必要があるでしょう。
総評と今後の注意点
資金曲線(エクイティカーブ)は、途中で押し目や調整局面を挟みつつも、全体としては右肩上がりで推移しており、執筆時点までの相場環境ではロジックがうまく機能してきたことがわかります。一方で、検証期間はまだ数か月と限定的であり、今回のパフォーマンスが長期的に再現されるかどうかは未知数です。今後もフォワードテストを継続し、1年以上の運用データや別ブローカーでの結果も含めて評価することで、過度な期待を避けつつ、このEAの本来の実力を見極めていくことが望まれます。
バックテスト結果の分析
バックテストの条件と期間
ここでは、私自身がMT5ストラテジーテスターで実施したバックテスト結果をもとに、このEAの長期的な挙動を整理します。バックテストの主な条件は以下のとおりです。
- 期間:2005年1月1日〜2025年11月15日(約20年分のデータ)
- 通貨ペア:XAUUSD(ゴールド)
- ロットサイズ:固定0.01ロット
- スプレッド:固定60ポイント
- 初期証拠金:10,000ドル
- ヒストリークオリティ:98%
期間は20年以上、総トレード数は4,159回、総ディール数は8,318回で、統計的に意味のあるサンプル数が確保されています。
損益カーブとドローダウンの推移
エクイティカーブは、バックテスト前半で長めの停滞〜含み損期間を経たのち、徐々に持ち直し、後半になるほど右肩上がりの傾きが強くなる形状になっています。最終的な口座残高は約13,188ドルまで増加しており、長期的にはじわじわと資金を積み上げたことが分かります。
ドローダウン面では、エクイティベースの最大ドローダウンは約558ドル程度で、一時的な資産の減少としては比較的穏やかな水準に収まっています(初期証拠金1万ドルに対して約5.5%に相当)。「一撃で大きく資金を失うタイプ」ではない一方で、損益カーブを見ると含み損を抱えたままの停滞期間が数年単位で続く局面もあり、リスクは金額の深さよりも時間的な長さとして現れるタイプの戦略と言えます。
統計指標(勝率・PF・期待値)の評価
バックテスト全体のトータル純益は約3,188ドルで、プロフィットファクターは1.21です。勝率は約55%(Profit Trades 2,278回/Loss Trades 1,881回)で、平均利益は約8.19ドル、平均損失は-8.22ドルと、1トレードあたりの損益幅はほぼ対称になっています。期待値(Expected Payoff)は0.01ロット固定運用で1トレードあたり約0.77ドルで、爆発的に利益を伸ばすEAではなく、「ごく小さなエッジを長期で積み上げる」設計であることが数値からも読み取れます。
一方で、トレードの内訳を見ると、ショートトレードはゼロであり、全てのエントリーがロング(買い)ポジションのみになっています。買いメインの構造は、フォワードテストでも確認されています。ロジックが本質的に「ゴールドの長期上昇バイアス」に強く依存していることを意味し、過去20年の上昇トレンドを前提にしたバックテスト結果になっている点には注意が必要です。今後もしゴールドが長期的な下落トレンドに入った場合、同じような結果になるとは限りません。
バックテストから見える強みと注意点
このバックテストから見える強みとしては、0.01ロット固定の前提で。
- 最大ドローダウンがおおむね数百ドル規模に抑えられていること
- 約20年という長期間で純益が約3,000ドル強積み上がっていること
が挙げられます。ロット0.01という控えめなサイズで運用する前提なら、資金曲線は比較的なめらかで、破綻リスクは低めに抑えられていると言えます。
一方で、弱点・注意点としては、
- ロングのみの戦略であり、ショート方向のエッジを全く持っていないこと
- 純益は20年で約3,188ドルと、時間あたりのリターンが決して高くはないこと
- 相場環境によって、数年間ほとんど増えない停滞期が存在すること(2005年~2014年の相場環境ではバックテスト上はドローダウンが続いている)
が挙げられます。特に「買いに偏った一方向戦略」である点は、このバックテスト結果をどう解釈するかに大きく影響します。過去のゴールドの長期上昇トレンドが追い風になっている可能性が高いため、将来も同様の環境が続くとは限らない、という前提で慎重に評価する必要があります。
バックテストの数字だけを過信するのではなく、フォワードテストの結果や現在の相場環境、そしてゴールド市場の構造変化を踏まえたうえで、ロット管理や運用停止ラインを明確に決めておくことが重要になります。
トレーディングロジックとリスク特性
機械学習EAとしての前提と開発者コンセプト
本EAは、開発者の公式ページ(MQL5マーケットの商品説明)によると機械学習ベースのロジックを採用したEAです。過去データからパターンを学習し、統計的な優位性のある局面だけを抽出してエントリーする設計思想が示されています。一方で、機械学習EAの宿命として過剰最適化(オーバーフィッティング)のリスクは常に意識すべきポイントです。バックテストで美しいカーブを描いていても、フォワードで同じ結果が再現されるとは限りません。
前述のフォワードテストが示すように、少なくともこれまでの期間においてはリアル環境でもロジックがうまく機能していることが確認できます。ただし、これは「今のところうまくいっている」というスナップショットであり、今後も継続的にフォワードの挙動を監視していくことが重要です。
取引履歴チャートから見える売買傾向

取引履歴チャートを見ると、このEAはトレード頻度が比較的高く、一度シグナルが出ると複数ポジションを階段状に積み上げていくスタイルであることが分かります。白いマーク(Buy)が連続して並び、その中にポイントで赤いマーク(Sell)が挿入されている構図が多く、全体としては買いポジションがメインのEAです。
フォワードの履歴を俯瞰すると、特に直近のゴールドの上昇局面では、上昇トレンドに沿う形で買いポジションを細かく分散エントリーし、トレンドフォロー的に利益を伸ばしている様子が見て取れます。その一方で、チャートが大きく下落している局面では新規エントリーがほとんど見られません。下落の場面をうまく予想しているように見えます。
下の画像のとおり、一部のトレードにグリッドEA的な挙動を示す場面があります。段階的にポジションをオープンし、一括で決済しています。ただ、相場が戻るまで待ち続けるという場面は今のことろありません。現時点では、危険な逆張りナンピンのようにポジションを抱え込むEAではないと解釈して良いでしょう。

リスク特性と相場環境への依存
バックテストとフォワードテストの統計値から、平均利益と平均損失はほぼ同程度であり、1ポジションあたりのリスクリワードそのものは極端に偏っていません。これは、単発のトレード単位で見たときのリスクが過度に大きいEAではないことを意味します。
しかし、実際の取引履歴を見ると、一度トレードを開始すると複数のポジションを同方向に積み上げる傾向があるため、「1回のシグナルに対してトータルでどれだけのリスクを取っているか」という視点が重要になります。ロットが小さいうちは問題になりにくいものの、資金量やロットを増やして運用する場合は、ポジション総量ベースのリスク管理(最大ポジション数・最大合計ロットの上限設定など)を行うべきEAです。
また、このEAは構造的に買い偏重のロジックであるため、過去のフォワードでは「ゴールドの上昇トレンドに素直に乗ることで大きな利益を出した」面があることも否定できません。もし長期的な下落トレンドに転換した場合、同じような成績が維持されるかどうかは不透明であり、相場環境に強く依存するEAと考えるのが妥当です。
今後の検証ポイント
直近のフォワードでは、ゴールドが大きく下落した局面でEAが新規エントリーを控え、危険な逆張りを避けているように見える点は非常に評価できます。もしこれが単なる偶然ではなく、ロジックとして「トレンドの強い逆行局面ではリスクを取らない」設計になっているのであれば、このEAの大きな強みと言えるでしょう。
とはいえ、フォワードのサンプル期間はまだ浅く、「たまたま上昇トレンドに恵まれた局面だけを切り取っている」可能性も完全には否定できません。現時点では、過去のバックテストと直近フォワードの両方から一定の優位性は確認できるが、長期的な再現性については様子見という立ち位置が妥当です。
運用を検討する場合は、
- ロットを抑えた状態でフォワードを継続し、少なくとも1年以上のリアル運用データを蓄積すること
- ゴールドが大きく調整・下落した局面での挙動を特に注視すること
- ポジション総量ベースのリスク管理(最大ロット・最大ポジション数)をあらかじめ決めておくこと
を前提にすると、このEAのトレーディングロジックとリスク特性をよりフェアに評価できるはずです。
総合評価と運用にあたっての注意点
- バックテスト・フォワードテストの双方から、プラスの期待値が確認できます。
- 単発トレードの損益幅は平均利益と平均損失がほぼ同程度で極端なハイリスクではありません。ただし、シグナル発生時に同方向へ複数ポジションを積み上げるため、トレードセット全体としてのリスク管理(最大ポジション数・合計ロット上限)は必須です。
- フォワードではゴールドの上昇トレンドに素直に乗ることで大きな利益を上げている一方、買い偏重のロジックであるがゆえに、長期的な下落トレンドや市場構造の変化が起きた際の耐性についてはまだ検証が十分ではありません。
- 2005年〜2025年の長期バックテストで最大ドローダウンは数百ドル規模に抑えられており、ロット0.01レベルであれば資金曲線は比較的なめらかです。ただし純益は約3,000ドル強と、時間あたりのリターンは決して高くない点もあわせて理解しておく必要があります。
- 執筆時点(2025年11月頃)での販売価格はおおよそ1,200USD前後とEAとしては非常に高額な部類に入り、期待できる長期平均リターンと価格を冷静に比較すると、投資回収には一定の期間と資金規模が求められます。十分なフォワード実績が積み上がるまでは、慎重に様子を見るのが現実的です。



マーチンゲールや無制限のグリッドは使用しておらず、1ポジションあたりの平均損失も平均利益と同程度に抑えられているため、単発トレードのリスクは極端に大きくありません。一方で、シグナル発生時には同方向へ複数ポジションを階段状に積み上げる傾向があり、ポジション量が膨らみやすい設計です。ロットを上げて運用する場合は、注意が必要です。
開発者によれば、本EAは機械学習アルゴリズムを用いて優位性のあるパターンを抽出し、主に買い方向でトレンドフォローを行うロジックです。直近のフォワードでは強い下落局面で新規エントリーを控えるなど、リスクを避ける挙動も確認できます。ただし構造的に買い偏重であり、ゴールドの長期上昇バイアスに依存した設計である点は否めません。長期的な下落トレンドや市場構造の変化が発生した場合に、どこまで対応できるかは未知数です。